80年代、モレシャンから大正ロマンへ
家業だった呉服屋を手伝う為に
修行中の呉服店を辞め札幌に来たのが今から丁度30年前。
この業界を選んだ当時の判断が正解だったのかどうかは
微妙なところですが、
今や数えられるくらいの市内の呉服店の中に、
とりあえず残っていられるのはまあまあ正解だったと
思い、お客様に感謝しなくてはいけません。
30年前のことを思い出して、黄昏れている暇もないのですが
「あーーもうこの業界も30年かー」などと考えてるうちに
当時のことをまだらに思い出してきたので
忘れないようにブログに書き留めておこうと思います。
当時は今のアラフィフの方も20代前半。
振袖もフランソワ・モレシャンとか、ギ・ラロッシュや
ミラ・ショーン、などのデザイナーものの大胆なモダン柄が
全盛からやや峠を越えた感じの頃でした。
その頃の振袖は最近もママ振
(お母さんの振袖を着ることをいうらしい。。)
で、着付けを承った方がたまにお持ちになります。
替わって出始めたのが「大正ロマン」のきもの
パステルカラーが多かったの斬新な海外デザイナー柄が、
いきなり、渋い色が基調のシックな和風のきものが中心に。
豪華な刺繍の半衿を使ってレトロ風に着るのが流行でした。
帰ってきたばかりで意気込んでいた私は
なんだか当時の店の古典柄の品揃えが古くさく感じて
この大正ロマン風のきものを中心に多数仕入。
そこそこ売れました。
しかし当時人気だった大正ロマンのきものも
流行り物の宿命で割と早いうちに廃れていきます。
このときの経験が
流行り物は人気があっても割とすぐに飽きて、着られなくなること、
また急に古くさくなることが、20代の自分の心に深く刻まれ
以後同じ轍を踏まないように、堅く心に誓うのでした。
この帯を見て懐かしい!と思った方、いらっしゃいませんか
モレシャンのきものの頃流行った袋帯です。始めて見る若い方には逆に新しいかも。
「た」