還暦を過ぎたら着物で輝く

お店には必ず着物でご来店いただいたお客様も、コロナ禍の間はめっきり少なくなってしまいましたが、ここに来て少しずつ着物でご来店の方が増えて参りました。
当たり前のことが自由に楽しめない期間が長く続いてきましたが、ようやくその呪縛も融けつつあります。

きもの好きの皆様には言うまでもなく、着物を着るという行為は洋服を着るのとはまた違い、いつもとは気分がガラッと変わり、テンションを上げてくれます。着物姿の女性は明るさやパワーが増してなんだか輝いて見えます。

それが着物の不思議なところで、魅了されるところなのでしょう。

私の母は専業主婦でしたが50代からお店に立つようになり、50-60代はいつも着物姿でお店に出ていました。大きな病気をしてからは店に出る機会も減り着物を着ることが少なくなりました。
それでも70歳後半位までは、なんとかお正月くらいは着物でと、お太鼓は無理なので半巾帯でも様になるように、羽織を誂えたりして着物を着ている時もありましたが、80歳を過ぎた頃からは全く着なくなってしまいました。

また、ご来店のときは必ず着物姿のお得意様も、ご主人さまが調子を崩されてから着物をお召しにならなくなり、最近はたまにご来店頂く時も洋服姿です。
その方は着物の着こなしがとてもお上手で、小物や鼻緒に至るまでこだわっていた方で、いつも勉強させていただいていました。その方がぼそっと仰った「きものを着るのも結構パワーのいることなのよ」という言葉が自分も還暦間近になりなんとなく理解できます。

「楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいのだ」という名言もありますが、
着物を着るから気分が上がり幸せな気分になる、その一方で、身体の調子が悪かったり、悩みごとがあるときは気持ちに余裕がなく、着物を着たい気分になれないというのもまた真実なのだろうなと思います。

何時か着ようと思っているうちに、時はどんどんときは過ぎ去っていきます。思い立ったら吉日、先延ばししないで着物でお出かけしてみませんか?
我々夫婦もそんな方のお手伝いをすることに、とてもやりがいを感じています。どうぞ気兼ねなくご来店下さいませ。

 
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